自己資金はどれぐらい必要か
事業をスタートさせるには開業資金が必要ですが、すべての資金を融資でまかなうわけにはいきません。開業資金の一部として自己資金を用意する必要があります。創業融資の申込書類には、必ず自己資金について記入するようになっています。実際のところ自己資金はどのくらい必要なのか気になる方もいるでしょう。
この記事では、自己資金はどれくらい必要なのかについて解説します。
1、自己資金とは?
まず自己資金の意味について確認しておきます。自己資金とは、開業するために自分で貯めたお金のことで、だれにも返済する義務のないお金のことです。たとえば、給与所得者の時代に毎月の給料から少しずつ貯めたお金は、だれにも返す必要はなく自由に使えます。
ところが、借金して用意した資金は貸主に返済する必要があり、自己資金とは言えません。人によっては、親が資金を提供してくれるケースもあるでしょう。ところが、贈与として受け取ったつもりでいても、親が経済的に苦しくなり返してくれと言われることがあります。これは本当の自己資金とは言えません。自己資金かどうかの判断基準は、返済の義務があるかどうかです。
2、自己資金はどれくらい必要?
では、自己資金はどれくらい必要なのでしょうか。
一般的に自己資金の目安は開業資金の3分の1ほどとされています。現在は、国が起業を積極的に支援する政策を打ち出しており、金融機関も良い融資先を探しています。そのため、3分の1までなくても、事業の内容を高く評価してもらえれば5分の1ほどの自己資金で創業融資を受けられるケースがあります。
ただし、開業資金に占める自己資金の割合が低くなると、融資を受ける金額は増えます。融資の割合が高いと、何らかの原因で資金繰りが苦しくなったとき、毎月の返済に追われて経営難に陥るリスクがあります。万が一のときのことを考えて、自己資金は3分の1を目標に準備しましょう。
自己資金が多いほど資金ショートを起こす可能性は低いため、自己資金が多いほど融資の審査に通りやすくなるということを知っておいてください。
3、自己資金が不足した場合はどうする?
自己資金が不足した場合は、以下のいずれかの方法で自己資金を補う必要があります。
①親族に出してもらう
親族からの借金ではなく、贈与という形でお金を出してもらえば自己資金として認めてもらえます。ただし、贈与契約書を証拠として作成しておく必要があります。
②第三者に出資してもらう
第三者に理由を説明して出資してもらうという方法があります。出資理由についてはっきりと説明できれば、自己資金と判断されます。
③みなし自己資金を認めてもらう
開業前に事業のためにお金を使っていた場合、みなし自己資金として認めてもらえます。たとえば、設備資金や原材料、商品の購入代金などは、自己資金として認めてくれます。購入したものの領収書などは証拠として提示する必要があります。
④現物出資する
事業のために使う資産を現靴出資として提供することで、その金額を自己資金として認めてもらえます。ただし、事業に使用する資産であることを説明する必要があります。
⑤退職金を自己資金に入れる
退職したときに退職金が確実に入ってくることが証明できれば、自己資金として扱ってもらえます。
⑥資産を売却する
自分の資産を売却して自己資金にします。売却した証拠となる契約書や領収書が必要です。
4、まとめ
創業融資を受ける際、自己資金は必ず必要になります。開業するのに必要な資金をはっきりさせたら、目標の自己資金を貯めていくだけです。自己資金は多いほど創業融資の審査は通りやすくなるので、できるだけ多くの自己資金を準備しましょう。