見せ金と融資の関係性

見せ金と融資の関係性

見せ金と融資の関係性


概要

見せ金とは、相手を信用させるために「見せるだけ」のお金です。

創業融資の場合では、融資審査の際、自己資金があることを示すために、一時的に親族や知人から借り入れをして、融資審査が終わった後にそのまま返すというものです。

 


目次

1、見せ金は通用するのか?

2、なぜ見せ金しようとするのか?

3、どのようにして見せ金と判断されてしまうのか?

①通帳

②ヒアリング

③チェックの厳格化

4、まとめ

 


1、見せ金は通用するのか?

新たに事業を始めて、資金が必要だけど自己資金が用意できない時に、安易に考えそうなことです。

結論から申し上げると、見せ金で融資担当者ごまかすことは、まず不可能とお考え下さい。担当者はこうしたケースには何度も遭遇していますし、「見せ金なのでは?」と疑念を抱かせた時点ですでに勝負がついてしまうのです。

 

2、なぜ見せ金しようとするのか?

融資申し込みの際に小細工をしてまで自己資金があることにしたい理由は、自己資金の金額により融資可能額が変わってくるからです。

 

日本政策金融公庫の新創業融資制度では自己資金要件を以下のように定めています。

3.自己資金要件

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます)を確認できる方

上記の場合、自己資金の10倍まで可能ということになりますが、全体の借入金額や業務経験などにより割合は変わります。通常自己資金の2~5倍というところが融資可能額になることが多いです。

 

3、どのようにして見せ金と判断されてしまうのか?

①通帳

新創業融資制度をはじめ、融資申込の際には、自己資金の確認資料として通帳の提出を求められます。最低過去6カ月以上の取引を確認して、不自然な入金がないか、公共料金の滞納はないか、消費者金融などから借り入れはないかなどを確認します。

通帳のコピーを形式的に確認するというものではありません。自己資金をどの様に準備してきたのかを過去に遡りながら確認します。毎月コツコツと計画的に準備したのであれば信用力が高くなります。

 

ある日突然数百万円が入金されている場合には、資金の出所を確認します。振込であれば振込元の通帳、定期預金の解約金であれば解約の通帳と当初預入時の通帳です。

②ヒアリング

「タンス預金」「売上回収金」などとあいまいな説明をしても、一層深堀されるだけで担当者の心証を悪くする可能性があります。あくまでも融資担当者が客観的に見て合理性があると納得しなければ話は進みません。

両親からのお祝いや贈与というのは自己資金としては判断が分かれるところです。自己資金の全額を贈与された資金ということではなく、自分で貯めた資金もあり、通帳の出入りも問題なければ自己資金として認められる場合もあります。

③チェックの厳格化

以前地方銀行のアパートローン審査に関して、自己資金の水増し・エビデンスの偽造が組織的に行われており大きな問題になりました。自己資金の確認については各金融機関の審査は一層厳格になるものと予想されます。

 

4、まとめ

仮に融資審査に通ったとしても、実際に事業を行っていると、自己資金に該当する部分が必要となってきます。後になって必要な資金が足らなくなったり、他の金融機関や消費者金融で借り入れたりすることになれば結局自分の首を絞めることになります。

融資申し込みの入り口のところで金融機関から疑念を抱かれるような行為は今後の取引を考えると得策ではありませんし、そのような行為をする経営者を支援しようとする金融機関はありません。

見せ金を考える時間と労力を、本業の方に振り向けていかねければなりません。