居酒屋創業のための融資ガイドー創業融資を成功させるためにはー

居酒屋創業のための融資ガイドー創業融資を成功させるためにはー

居酒屋を開業したい場合は、様々な融資制度の中から最適な制度を選択して資金調達することが大切です。

まずは開業時にどのような支出があるのか理解し、創業時の資金調達方法の概略を理解しましょう。

税理士法人タックスイノベーションは、居酒屋を創業したい方のご支援日本一を目指します。

 

 

 

 

目次

  1. 開業までの流れ

①    物件の選定

②    業者(メニュー・内装・仕入・販促)選定

  1. 開業にかかる費用とは

①    不動産初期費用

②    内装設備(内外装工事、備品の購入など)に関する費用(スケルトン)

③    備品その他

④    人件費

⑤    広告費

  1. 創業融資が受けれる人とは(申込をできる方)

①    支払遅延がない方

②    税金滞納をしていない方

③    金融事故を起こした方

④    直近で自己破産していない方

⑤    キャッシングの残債がある方

  1. 創業者の資金調達方法

①    難易度「低」

イ      消費者金融からの資金調達

ロ      日本政策金融公庫からの資金調達

ハ      地方公共団体の制度融資

②    難易度「中」

イ      助成金・補助金

ロ      血縁・親族関係からの資金調達

ハ      友人やパトロン(エンジェル投資家)からの資金調達

③    難易度「高」

イ      クラウドファンディングの資金調達

ロ      VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達

ハ      私募債による資金調達

ニ      リースによる資金調達

④    まとめ

  1. 公的機関から融資を受けるには(融資の可能性がある方)

①    業務経験があること

②    自己資金があること

イ      見せ金と判断されないためには

ロ      そもそもどこまでを自己資金というのか

③    信用情報が汚れていないこと

  1. 失敗事例

①    自己資金がいわゆる「見せ金」だったケース

②    面談時の服装や態度が悪い等で、融資担当者へ悪印象だったケース

③    事業計画書が詰め切れていなくて不完全だったケース

④    事業計画書の作成を丸投げしていたケース

⑤    知り合いの経営者に相談して融資申し込みをしたケース

⑥    知り合いの税理士に相談して融資申し込みをしたケース

  1. 融資の成功率を高めるには

①    事業計画書の作成

②    面談対策

③    創業計画書を手抜きしない

④    みなし自己資金対応

⑤    事業経験の厚み

  1. 融資が失敗した時の対処方法

①    リース

②    業務委託

③    別の機関の融資制度を利用

  1. 創業融資Q&A

①    既に日本公庫から借入している場合、他の金融機関借入はどうなるのか?

②    クラウドファイナンスの資金調達って?

③    高額融資って可能でしょうか。

④    事業に失敗して廃業したことがあるが大丈夫か?

⑤    競争が激しく廃業率が高い業種(FC業態)でも融資は可能ですか?

⑥    事業計画は壮大であればあるほど融資に有利なの?

⑦    自己資金はいくらぐらい必要なのでしょうか?

⑧    短期間のうちに追加融資は可能でしょうか?

⑨    M&Aによって創業することは可能でしょうか?

  1. まとめ

 

 

 

 1.開業までの流れ

 

一般的な居酒屋開業のスケジュールは下記のようになります。

居酒屋開業までの流れ

①物件の選定

■探し方:地域の不動産やインターネット

自身が考える条件に合致する物件は、探そうと思ってもすぐにみつかるわけではありません。そのため、インターネットを活用して、オープン見込地域の不動産屋をピックアップし、焦らず条件の合うものを探してもらいましょう。

また、オープンしたい地域にご自身が調査し、空いている物件など足を使って探すと、思わぬ物件が見つかるかもしれません。

つまり、条件に合う物件探しは、焦らず地域の不動産屋にお願いし、足を使って地道に自身で探すしかないのです。

ただ、居酒屋専門税理士等ですと、提携する不動産会社様がいるため、相談してみるのもいいかと思います。

 

 

■地域・立地

地域・立地は、駅前が一番いいとは限りません。オープンしたいお店のコンセプトに合った立地を考えればいいのです。例えば、料理または酒にこだわったお客様を対象とするのであれば、駅前でなくてもその味又は酒を求めて来店いただけるはずです。逆に、安くて大勢で騒ぎたいサラリーマンの方を対象としたお店であれば、オフィス街や駅前がよろしいかと思います。

立地の性質を下記にまとめてみましたので、ご参考ください。

 

 

場所 ターゲット 家賃
主要な駅の近く どの層でも対象となる
ベットタウン駅の近く その店の強みを好む層

ファミリー層

低~中
商店街の近く その店の強みを好む層 低~中
住居の近く その店の強みを好む層

ファミリー層

幹線道路沿い(近く) ファミリー層

 

 

■広さ

物件の広さは、席数に影響します。席数に影響するということは、売上に直結します。そのため、オープンする店が、お客様にゆったりくつろいで頂くよう席の間隔を広くして席数を少なくして高単価のお店なのか、それとも席の間隔をある程度狭め、回転を重視してコスパがいい店なのかで広さを選択します。

参考までに、一坪あたり1.5席を通常と考えてください。

※一坪とは、約3.3㎡(1.8m×1.8m)です。

 

 

■家賃

居酒屋を運営する上で、家賃設定は非常に重要です。なぜなら、家賃は売上がゼロでも必ず発生するものだからです。

選んだ物件の家賃が高いか低いかは、次の2点を考えて頂ければ失敗リスクを減らすことができます。

・物件の広さに対する席数(上記を参考)で計上できる月売上はいくらか。(客単価×席数×回転数×営業日数)

・月家賃が月売上の10%以内か。

この2点を抑えれば、無理なく支払うことができますので、参考にしてみてください。

 

 

■初期費用(敷金等)

初期費用は、一般的に敷金、礼金、前払家賃・共益費、更新料、仲介手数料があります。⇒詳細は「2.開業にかかる費用の①」をご参照ください。

 

 

■種類(居抜き・スケルトン)

物件の種類として、居抜き又はスケルトンがあります。居抜きとは、前のオーナーがそのまま厨房器具等を置いていき、ある程度の設備はそろっている状態のことです。また、スケルトンとは、何も設備はなく、自身で一から設備を導入する状態のことです。

居抜きかスケルトンかで生じる費用は変わってきます。

 

 

■設備(電気・ガス・水道・換気)

水道光熱の容量が、居酒屋で使える容量かはしっかり確認しておきましょう。

お店の大きさにもよりますが、目安は下記表の通りです。

 

電気 ガス 水道 換気設備
50~60A 10号~ 水道管20mm~

(20A~)

必ず必要

 

 

②業者(メニュー・内装・仕入・販促)選定

■内装

内装業者は、受注して自社で行う会社と、他社へ外注する会社があります。自社で行う会社の方が、細かな要望等が伝わりやすいと思いますが、その会社自体の実績や実際に手掛けたお店の雰囲気が自分に合うかどうかで決めましょう。

なお、居酒屋をオープンする場合は、居酒屋を多く手掛けている会社に頼むことをお勧めします。

 

 

■材料

仕入れ業者を探すには、次の点を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

■お店の近く、又は同地域の仕入業者

お店から近い業者ですと、何かあってもすぐ対応してくれたりして融通が利きます。お付き合いして損はないでしょう。

 

 

■仕入業者の強みを自分の店メニューに合っているか。

品ぞろえが多い仕入業者でも、強み・弱みはあります。もともとその仕入業者は何からスタートしたのかを理解すると、仕入業者の強みがみえてきます。

 

■価格が安く、飲食業界内で評判がいい業者

飲食業界内で評判がいい業者は、それだけの理由と実績があります。同業の先輩、知人等に聞いてみるのもいいかと思います。

 

仕入業者とは長い付き合いになりますが、最初からいい業者に出会えるとは限りません。そのため、最低限の条件が合う業者であれば一旦取引し、気長にいい業者を探すといった気構えでもいいかと思います。

販売促進は、今やネットが主流です。お店を調べるとき、まず確認するのは「食べログ」や「ぐるなび」等で、かつ評価もみてお店を決めることが多いと思います。

また、最近ではSNSの活用も無視できません。無料でできることもたくさんあるので、誰もが使うツールで、かつ無料でできる販売促進ツールは必ず活用しましょう。

 

 

 

2.開業にかかる費用とは

 

 

①不動産初期費用

 

 

項目 内容
敷金 敷金は、その物件を借りる時にオーナーへ預けるお金のことで、年家賃の半年分が目安となります。その物件を退去する時には、物件を元の状態に戻す必要があり、その元の状態に戻すための費用を敷金から賄うことになり、余った分が返還されます。

なお、契約によって、賃借期間に応じて、返還される金額が減っていきます。

礼金 礼金は、オーナーへの謝礼的性質であって、一切返還されません。礼金がない店舗物件も多いですが、ない物件でもその分家賃が高いなど、何かしらの調整は図られている可能性があります。
前払家賃・共益費 前払家賃・共益費は、借りる物件の翌月分です。一般的に家賃は前払い(翌月分を前月までに支払う)のため、借りる時には翌月分も一緒に支払うことになります。
仲介手数料 仲介手数料は、不動産業者に支払う物件の紹介料及び事務費用のことです。一般的には家賃の一か月~二か月分を支払います。

 

 

②内装設備(内外装工事、備品の購入など)に関する費用(スケルトン)

店舗投資額は一番大きな支出となります。一概にはいえませんが、店舗一坪あたり、50万が目安となります。

気に入った物件があったら設備投資額がいくらぐらいになるのか計算してみましょう。投資額を計算することで、お店のイメージが一気に現実的なものとなります

※一坪あたり、3.3㎡(1.8m×1.8m)です。

 

③備品その他

厨房機器周辺(冷蔵庫等)のことです。店舗の容量的に何席設けるのか、料理メニューは何か等で色々と変わってくるのですが、イメージするお店の完成形から逆算して、大きさ、機能を決めていきます。

そして、どのようなものか決まったら、中古と新品を比較し、検討してみましょう。

 

④人件費

人件費はご自身や社員の給与とアルバイトの給与に分けることができます。前者は毎月決まった固定費で、後者は曜日や時間帯に応じて変動させる変動費です。

社員の給与は、毎月必ず発生するため、社員を雇う必要があるのか慎重に検討しましょう。その際、家賃と給与等の固定費を支払うためには、何人のお客様が来店する必要があるのか算出し、現実的に達成可能な売り上げかを確認しましょう。

アルバイトの給与は、お店の繁忙時間帯に集中させ、閑散時間帯はシフトを入れない等、必ず管理をしましょう。

ちなみに、営業時の目安となる人数は、10席あたり一人です。ただし、慣れていないアルバイトの方は、クレームにならないよう5席~7席あたり一人ぐらいにした方がいいでしょう。

 

 

⑤広告費

居酒屋における広告費は、必要不可欠です。爆発的に流行して、勝手に広告してもらえる状態になればいいのですが、そうでない場合、いまや食べログやぐるなび等からお客様がくることがほとんどなので、必ず行いましょう。広告費の目安は、売上の5%ぐらいはかかりますので、この5%を確保できるぐらいの固定費設定をする必要があります。

 

 

 

 

3. 創業融資が受けれる人とは(申込をできる方)

まずは、次のチェックリストで申し込みできるかご判定ください。

⇒チェックシート

https://izakaya-sogyo.com/checksheet/

 

①支払遅延がない方

支払遅延がないとは、毎月必ず発生する家賃・水道光熱費等の支払遅延がないということです。毎月発生する支払に遅延があると、金融機関から支払いがルーズな人と思われてしまいますので、融資申し込みの際に不利になってしまします。最低限、融資申し込みの6か月前からは支払遅延がないようにしましょう。

また、支払遅延がないことを証明するため、水道光熱費等はクレジット払いや口座振替にする等して、証明できるようにしておきましょう。

 

②税金滞納をしていない方

税金の滞納がある方は、速やかにお支払いください。滞納があると、融資申し込みの際の評価に影響します。

また、期日通りに支払っているかも確認されます。仮に期日が過ぎてしまったら、できるだけ早く納めるようにしましょう。

 

③金融事故を起こした方

7年以内に金融事故を起こしている方は、融資を受けれる可能性が非常に低くなります。

金融事故とは、借り入れやクレジットの返済が遅れたり、踏み倒したりした場合です。

 

④直近で自己破産していない方

自己破産をした方でも借り入れすることは可能です。ただし、相当ハードルは高いと考えた方がいいでしょう。

確かに自己資金をコツコツためて、適切な事業計画があれば借り入れできる可能性はありますが、自己破産した直後等の時期が悪かったりすれば、借り入れは困難です。

 

④キャッシングの残債がある方

消費者金融等の残高がある方は、融資を受けることはまず無理です。

借り入れをする際は、必ず返済してから申し込みをする必要がございます。

 

 4. 創業者の資金調達方法

難易度「低」

消費者金融からの資金調達

a.概要

消費者金融からの借り入れは、少額ですがその借り入れをするためのハードルは低く、早く借りることができます。どうしてもすぐに資金が必要ということであれば便利でしょう。ただし、返済残高がある場合は、金融機関からの借り入れは無理で、かつ高金利となります。

b.調達期間

早ければ即日借り入れすることができます。

c.調達金額

少額が多いです。

d.金利

高利率です。

 

日本政策金融公庫からの資金調達

a.概要

創業者にとって一番利用しやすいのが、日本政策金融公庫からの資金調達でしょう。一般的に銀行や信金等の金融機関は信用がないと貸しません。

創業者は事業の信用がないため、直で金融機関からの融資はほぼ無理となります。その点、政府系機関である日本政策金融公庫は、創業者のための無担保・無保証融資があり、創業者にとってはとても利用しやすい機関となっております。

 

b.調達期間

融資制度にもよりますが、1か月~2か月ぐらいが目安です。

 

c.調達額

7,200万円以内が目安となります。

 

d.金利

2.75%以下が目安となります。

 

なお、日本政策金融公庫において創業者が一般的に利用する融資制度は下記の通りなので、ご参考ください。

 

日本政策金融公庫の融資制度まとめ表

 

 

 

 

地方公共団体の制度融資

a.概要

創業者はまだ信用がないので、銀行等から直で借り入れすることはほぼ無理ですが、銀行等を窓口とした都道府県等の制度融資を利用することができます。これは、借り入れする際に保証協会という組織が保証することで、銀行等がお金を貸してくれる制度です。

b.調達期間

融資制度にもよりますが、2~3か月ぐらいが目安です。

c.調達額

2千万円ぐらいが限度目安となります。

d.金利

2%ぐらいが目安となります。また、金利以外で別途保証協会に対す保証料が発生します。

 

なお、東京都等において創業者が一般的に利用する融資制度を下記の通りまとめましたので、ご参考ください。

 

制度融資のまとめ表

 

 

 

難易度「中」

助成金・補助金

助成金・補助金について、その募集は一定の期間があります。例えば、創業補助金ですと、平成30年4月27日(金)~平成30年5月22日(火)までに応募した方が対象でした。

各市区町村でも募集しているので、創業時期は確認してみるのもいいかと思います。

ちなみに、補助金情報はこちらで検索できます。

http://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support/

 

血縁・親族関係からの資金調達

血縁者からの資金調達は、なかなか難しいものです。夫婦の資金なら別ですが、親等からの借り入れは、一定の年齢に達している場合は厳しいかと思います。

何かあったら助けてもらう、という気持ち程度に留めておくことがよろしいかと思います。

 

 

友人やパトロン(エンジェル投資家)からの資金調達

よほど事業計画がしっかりしており、かつ収益の見込みがある事業でないと厳しいでしょう。仲がいいからといって、安易に友人からお金を借りることはトラブルの元になります。

また、エンジェル投資家は、基本的に「借入」ではなく「出資」となるかと思います。事業が儲かった後に、思いのほか高い株価で買取請求されることもありますので、出資してもらう時はよく検討しましょう。

 

 

難易度「高」

 

クラウドファンディングの資金調達

クラウドファンディングとは、ネットで出資者を募集してお金を集めることです。最近では、東京都等が窓口となって、募集するケースもあります。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/09/22/09.html

 

VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達

ベンチャーキャピタルとは、ハイリターンを狙ってベンチャー企業に投資をするファンドのことです。企業に対して出資を行い、上場させた後に株式を売却して利益を狙います。

AI等の新興市場に対して行われることが多く、居酒屋をオープンさせる場合は、あまり馴染まないでしょう。

 

私募債による資金調達

私募債とは、通常50人未満の方を対象として発行する小規模の社債のことです。返還期限までは利息のみの支払で、期限には元本を一括で返済することもできます。

一般的に創業時は親族が社債を購入することになりますので、親族借入とあまり変わらないと思います。

 

 

リースによる資金調達

リースとは、物を借りて、利息と合わせて分割で支払うイメージです。居酒屋開業において、厨房機器だけでなく、内装費自体をリース化してくれる業者もあります。

購入ではなくレンタルのため、最初の初期費用は抑えることはできます。ただし、利率が高かったり、保証人が必要だったりするので、慎重に検討しましょう。

 

 

 

まとめ

あくまでも私見ですが、上記創業時の資金調達方法を表にまとめましたので、ご参考ください。

 

調達方法 難易度 安全性 調達限度額 金利・配当
消費者金融 ×
日本政策金融公庫 低~中
地方銀行等の融資制度 低~中
助成金・補助金 低~中 なし
血縁・親族関係等 低~中
友人やパトロン等 低~中
クラウドファンディング 中~高
VC
私募債 中~高
リース 中~高

 

※あくまでも私見です。

 

 

5. 公的機関から融資を受けるには(融資の可能性がある方)

 

 

業務経験があること

業務経験のある事業について、経験があると融資成功率が上がります。

創業者は基本的に事業における信用がまだ薄いです。お金の貸し手は、事業者の信用に基づきお金を貸すのですが、信用を獲得するためにも、経験の有無が重要になります。

お金の貸し手は、借り手がいくら説得力に溢れたプレゼンをしたとしても、経験がないのであれば話半分で聞かざるを得ません。なぜなら、できる根拠があいまいになりがちだからです。

有名居酒屋法人の社員だと、すんなり融資もおりた例もあるぐらい、業務経験は非常に重要です。

アルバイト経験でも構いませんので、とにかくお店の業務に関わることは何でもアピールしましょう。

もし、業務経験が無ければ、経験豊富な方を非常勤役員として迎い入れることも一つの手段です。

 

 

 

自己資金があること

 ■ 見せ金と判断されないためには

見せ金とは、あたかも自己資金であるかのように体裁を整えたお金のことです。例えば、融資申し込み近辺で親族からお金を借り、一気にお金を預金口座へ預け入れた場合は要注意です。

なぜ見せ金がいけないのかというと、こつこつとお金を貯めた行動に意味があるからです。融資担当者は、こつこつとお金を貯める人は堅実というふうに捉え、申し込み者が計画性のある人と思われることで、融資成功率がグッと上がります。

見せ金は面談等で簡単に見破られるため、ズルはできないと考えた方がいいでしょう。

また、見せ金と誤解されないことも重要です。別の口座からの単純な資金移動や、株式の売却等の場合は、自分のお金ですが見せ金と疑われる可能性があります。そのような履歴がある場合は、面談時に見せ金でない証拠を持っていき、疑いを晴らしておきましょう。

 

 

 ■ そもそもどこまでを自己資金というのか

自己資金は、こつこつと貯めた誰にも返さないお金のことです。

親から渡されたお金がある場合、将来も返済しない明確な意思表示があれば、自己資金としてみなされます。その書類はしっかりと作成しておきましょう。

 

 

信用情報が汚れていないこと

「信用情報とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した個人の情報です。そして、この信用情報は、クレジット会社が顧客の「信用」を判断するための参考資料として利用されます。そのため、信用情報には人種や思想、保健医療、犯罪歴などの項目は、一切含まれません。」(https://www.cic.co.jp/confidence/index.html

つまり、その人のローンやクレジットの返済状態を示します。この情報が汚れていないことは、融資を申し込むにあたっての最低条件となります。

なお、融資時によく使われるのが「CIC」情報です。

https://www.cic.co.jp/mydata/index.html

ネットで簡単に取得することができるので、確認してみましょう。

 

 

 

6. 失敗事例

 

自己資金がいわゆる「見せ金」だったケース

「融資申し込み直前に、親から200万円借りて自己資金300万円を合わせて500万円を自己資金として、1,500万円申し込みました。

面談で一気に入金された200万円は何かと聞かれ、親からもらったものと答えましたが、何も証明するものがなかったため自己資金は300万円と認定されました。

事業計画書はしっかりとしていたため、結局1,000万円の融資しかおりませんでした。」

見せ金認定されると、その分自己資金が減ります。通常は自己資金の3倍ぐらいが目安となりますので、融資申し込み額が減らされる可能性がございます。

見せ金認定されないよう、見せ金でない証拠とともに、しっかりと説明しましょう。

 

 

面談時の服装や態度が悪い等で、融資担当者へ悪印象だったケース

「融資担当者との面談の際、Tシャツ短パンで臨み、かつ面談時に厳しい質問がきたためキレてしまいました。

その結果、事業を行っていく覚悟がなく、かつ誠実ではないと捉えられてしまったため、融資を断られました。」

面談の際の服装はスーツが基本です。また融資担当者からの厳しい質問に対して誠実に対応することが必要です。多額の資金を貸すのですから、本当に返してくれる人か見極めるために、厳しい質問がくることは当然と考えましょう。なお、事前にある程度対策は可能なので、専門家に相談することをお勧めします。

 

 

事業計画が詰め切れていなくて不完全だったケース

「作成した事業計画について、売上を感覚で計上し、質問されて答えた想定客単価と、提出した計画書の客単価が一致せず、売上の根拠がないことを示してしまいました。

また、売上が増えているのに変動費である原価が一律など、つじつまが合わない計画書を提出してしまい、融資担当者から厳しく突っ込まれました。その結果、融資を断られました。」

事業計画書は作成する書類の中で一番重要です。数字が多く、作成することに慣れていないとつじつまが合わなくなります。また、実現不可能な事業計画も見受けられますので、専門家に作成を依頼した方がいいでしょう。

 

 

事業計画の作成を丸投げしていたケース

「事業計画の作成は、数字がたくさんあり、とても面倒です。そのため、その作成自体を専門家に丸投げしました。専門家は素晴らしい事業計画を作成してくれましたが、面談の際に融資担当者からの質問に全然答えられませんでした。そして、専門家に丸投げしたことが融資担当者にバレてしまいました。その結果、いくらの資金が必要なのかわからず、融資を断られてしまいました。」

あくまでも専門家の役目は、創業者の頭の中にある計画をヒアリングに基づいて事業計画書という形にすることです。丸投げしてしまうと、面談時に質問に答えられず、最悪の場合、融資を断られます。

 

 

知り合いの経営者に相談して融資申し込みをしたケース

「居酒屋を開業するにあたり、いい物件がでてきたので早く融資が必要となり、知り合いの経営者にアドバイスをもらいました。そのアドバイスの内容は、借りられるだけ借りなさいというものです。

そうして融資申し込みの際に限度額いっぱい申し込んだところ、本当に申し込み額が必要なのかを突っ込まれ、再度事業計画書を作成しましたが、その間に物件が他で決まってしまい、事業計画も変わってしまうので、またいい物件が出るまで開業を延ばさざるをえませんでした。」

知り合いの経営者に相談することは、よくあることです。お世話になっている経営者の方がいるとなれば、まず相談することは当然のことです。

ただ、その方のアドバイスは本人の経験に基づき教えてくれ、本当にあなたの状況と合っているアドバイスかどうかがわかりません。

参考に意見を頂く程度にしておいた方がいいでしょう。

 

 

知り合いの税理士に相談して融資申し込みをしたケース

「知り合いの税理士に融資相談をしたところ、創業者は保証協会付きの融資以外はないと言われましたので、税理士の言う通り申し込みを行いました。無事融資がおりましたが、知り合いの創業者との会話の中で、日本政策金融公庫による無担保無保証融資制度を利用したとのことです。融資は無事おりたのですが、自分の融資額であれば無担保無保証制度も活用できたので、そちらを使えばよかったと思います。」

税理士は税金のプロであって、融資のプロではありません。税理士のお客様で融資が必要となり、そのご支援をすること自体はあるのですが、創業融資とはまた毛色が違う業務なので、税理士に相談するにしても、何が得意な分野なのかをよく理解してから相談するようにしましょう。

 

 

⑦下準備もせずにいきなり融資窓口へ行ってしまった

「創業融資は日本政策金融公庫がいいと聞き、さっそく相談に行き申し込み書類をもらいました。新創業融資制度は無担保無保証制度のため、その必要書類にしっかりと必要事項を記載し、自己資金が必要額の10分の1という要件ギリギリ満たしている旨も伝え、申し込みをしたところ、自己資金が少なすぎるとして希望額がおりませんでした。」

自己資金は必要額の3分の1が目安です。自己資金が必要額の10分の1程度であれば、まず満額の融資は無理なので、そのような状況もしっかりと理解している専門家に相談しましょう。

 

 

 

 

7. 融資の成功率を高めるには

 

事業計画書の作成

事業計画書とは、創業計画書よりも詳細な事業計画を記載した資料の総称をいいます。

なぜこの事業ができて、どのように運営していくのか具体的に記載するのが事業計画書であり、それをコンパクトに収めたものを創業計画書といったイメージです。

融資を受けるためには、事業計画書は必要不可欠です。また、その内容自体について、融資の面談の際に中身を必ず聞かれるため、丸投げで作ってもらうことは危険です。そのため、ご自身の頭の中にある計画を引き出してくれるような専門家に依頼し、形にしてもらうことがいいでしょう。また、原価率や人件費率などの目安となる基準があるので、そういったポイントも指摘してもらえる専門家を選びましょう。

 

 

面談対策

融資の申し込み後、融資担当者との面談があります。聞かれることは、基本的には創業計画書・事業計画書に記載されている内容についてですので、それほど恐れることはありません。

とはいっても、初めての面談の方も多いと思いますので、一般的な対策項目を下記に挙げておきます。

 

  • 服装

服装はスーツで臨みましょう。クールビズ期間であればネクタイは不要ですが、相手からキチンとした人物と思われやすい服装であれば問題ありません。

少なくとも短パンやサンダルはやめましょう。

 

  • 聞かれるポイント

よく聞かれることは、創業動機、経験や知識の有無、事業継続の自信と根拠、家族の理解、セールスポイント、自己資金の有無又はどのように貯めたのか、資金用途などです。

融資の専門家は、面談に同席することもあるので、しっかりと対策をしてもらいましょう。

 

 

創業計画書を手抜きしない

創業計画書は通常指定のフォーマットがあり、その項目は創業動機や事業経験、セールスポイント、必要な資金と調達方法、事業の見通しです。どれも重要な項目であり、面談の際にも聞かれるポイントですので、必ず記載しましょう。また、事業の見通しや必要な調達資金額は、事業計画書と整合性が合わないと書類自体の信ぴょう性が疑われるため、慣れていなければ専門家に確認してもらった方がいいでしょう。

 

 

 

みなし自己資金対応

融資を申し込む際、自己資金がいくらあるのかが一つのカギとなりますので、自己資金は多ければ多いほど有利です。自己資金は手元にある資金だけでなく、実際に事業用で使用した部分も含まれますので、必ず領収証は残しておいてください。例えば、融資申し込み前に購入した什器備品なども、立証できれば自己資金として認められます。

 

 

事業経験の厚み

開業する分野の事業経験があると、創業動機や事業計画に裏付けができますので、計画自体に厚みが増します。さらに、有名居酒屋チェーンを展開する法人での勤務経験があると融資の成功率は上がります。これは、成功している法人の店舗運営を知っているため、成功しやすいと判断されるからです。そのため、少なくとも経験が3年以上あると有利となります。

 

 

8. 融資が失敗した時の対処方法

融資が失敗した場合、もうダメと諦めてしまう方も多いと思いますが、他に手がないわけではありません。ここでは、万が一申し込んだ融資が失敗した場合の対処法をお伝えします。

 

 

リース

リースは、簡単に言うと開業設備等のレンタルです。その仕組みは、ご自身の気に入った物件や内装設備をリース会社が一括借り上げし、レンタル代としてリース会社に毎月支払う形態です。当然、リース会社も儲けなければいけないので、自身で借り入れを行った場合の利率と比べて高い利率が設定されております。

ただ、借り入れができなかった等の理由で開業ができないことも想定されますので、その場合は検討する価値があると思います。

 

 

業務委託

業務委託とは、店舗経営の委託を受けてお店を運営する形態です。資金は委託者が用意するため、受託する側としては金銭的なメリットがあります。

ただし、利益の一部分を業務委託手数料として委託者に支払わなければいけない制約があります。

要するに、一定の制約を受けた自由な雇われ店長というようなイメージです。

 

 

別の機関の融資制度を利用

日本政策金融公庫に融資申し込みを断られた場合、半年後まで再申し込みはできません。そのため、地方自治体の制度融資(上記「4.創業者の資金調達方法⇒クリック」をご参照ください。)に申し込むか、金融機関独自の創業融資制度に申し込むこととなります。

その際、日本政策金融公庫でなぜだめだったかを担当者又は専門家に相談し、次は確実に融資がおりるよう準備をしましょう。

 

 

 

9. 創業融資Q&A

 

既に日本公庫から借入している場合、他の金融機関借入はどうなるのか?

追加で資金が必要な合理的理由さえあれば、借入は可能です。ただし、急に金融機関を訪問して貸してくれるほど甘くはありません。なぜなら、創業者の方は返済できるのかの信用力がないためです。追加で借入が必要になったときに備えて、金融機関とのパイプは必ず作成しておきましょう。パイプの作り方でご相談がある方は、弊社にご連絡ください。

 

 

クラウドファイナンスの資金調達って?

MFクラウドによって、資金調達をする方法です。MFクラウドシステムによって、金融機関に資金調達依頼を行い、最短2日以内で融資が下ります。

ただし、通常の融資と違い、調達限度額は低く、利率は高い傾向です。

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高額融資って可能でしょうか。

少額でも高額でも、その金額の融資が必要であり、かつきちんと返済できる計画であれば、融資はおります。そのため、なぜこの金額が必要なのかの根拠を明確にし、それを証明する書類等を準備しましょう。

また、その事業によっていくらの利益が出て、いくらを毎年返済していくのかの返済計画等も作成し、貸し手を納得させられれば、高額融資は可能です。

 

 

事業に失敗して廃業したことがあるが大丈夫か?

過去に廃業していた場合、多少厳しくみられることはあるかもしれません。ただ、借入を完済していれば、むしろその失敗で学んだことを活かせるとアピールすれば、プラスになります。

その際、どういう失敗をして、どうすべきだったか、そして具体的に何に対して活かせるのかを事業計画に織り込みましょう。

 

 

競争が激しく廃業率が高い業種(FC業態)でも融資は可能ですか?

競争が激しく、廃業率が高い業種だとしても、貸し手は本当に融資が必要で、かつきちんと返済できると判断すれば融資はおります。例えば、競合はどの店で、自社の強み・弱みはどこか、そしてどうやったら競合に勝てるのかの戦略をしっかりと練り(差別化を図る)、事業計画を立てることです。その計画が、実現可能性が高いものであれば、廃業率の高い業種だとしても融資がおりる可能性は高くなります。

 

 

事業計画は壮大であればあるほど融資に有利なの?

事業が大きくなればそれだけ利益も増えるため、拡大するに越したことはありません。ただ、一つ言えるのは、その壮大な計画が本当に実現可能かどうかです。

例えば、売上げが毎年30%ずつアップしていき、5年後には居酒屋を7店舗出店するという計画を作成したとしましょう。

では、毎年売上げが30%アップする根拠は何でしょうか。また、7店舗出すにしても、毎年いくらを返済でき、いくら借り入れすることができるのか等、きちんと詰めているのでしょか。

実現可能性が低い計画は、かえって悪印象を与えてしまう恐れがありますので、きちんと説明がつく計画書を作成しましょう。

根拠があれば、壮大であろうとなかろうと、融資の成功率は高くなります。

 

 

自己資金はいくらぐらい必要なのでしょうか?

自己資金は、一般的には必要額の3分の1は自己資金であることが望ましいです。つまり、自己資金の2倍ぐらいが借り入れできる金額とお考えください。ただし、事業経験が豊富で、かつ見込み客も多く持っているなど、その返済計画の実現可能性が非常に高いと判断されれば、自己資金は3分の1より少なくても融資がおりる可能性があります。

 

 

短期間のうちに追加融資は可能でしょうか?

本当に必要な資金であり、かつ金融機関とのパイプを早期に作っておけば、短期間のうちに追加融資されることは可能です。通常は厳しいのですが、日本政策金融公庫から借り入れを行った直後から、目当ての金融機関と付き合うようになっておき、必要に応じて融資の打診をすれば、無視はできないと思われます。

ただ、注意が必要なのは、金融機関に行っていい日と悪い日があったり(繁忙期等)するので、パイプ作りは専門家と一緒に行った方がいいでしょう。

 

 

M&Aによって創業することは可能でしょうか?

もちろん可能です。通常の創業は、店舗を自身が借りて、資金調達し、内装工事を行ってお店をオープンするのですが、M&Aの場合、例えばもともとある法人の株式を買って法人自体を買収したり、事業自体を物でそのまま買ったりするため、通常の流れとは異なります。M&Aで創業する場合の特徴として、物件探しではなく、良い売り手をいかに見つけられるかがポイントです。良い店舗を持っている法人だとしても、譲渡価額が高額であったりすると、交渉決裂するため、その交渉は専門家を入れた方がよいでしょう。また、M&Aで購入する場合、法人が一店舗ではなく数十店舗持っていたとすると、一気に店舗が増えますので、多店舗展開したいオーナーの方は、M&Aは店舗を一気に増やすことができます。

 

 

 

10. まとめ

お店をオープンしたいと思ってから、実際にオープンさせるまでの一般的な方法を上記で記載致しました。

実際にオープンするためには資金調達が必要となる場合が多く、その方法はさまざまです。

また、オープン後の資金のやりくり等、不安だらけだと思います。

一つ言えることは、ご自身で悩んでいては何も始まらないので、まずは何をやるべきかをしっかりと把握しましょう。

何をやればいいのか分かってしまえば、あとはご自身の行動あるのみです。

もし、何をやればいいのかわからない、又はやることが多すぎて優先順位がつけられない等といったお悩みがあるのでしたら、一度専門家にご相談ください。

もちろん、居酒屋専門である弊社はいつでも相談に乗りますので、まずはお気軽に無料相談でお話をお聞かせください。